【ブログ記事】医学文献の入手方法

医療事件においては当然その案件に関する医学的な知見が必要となります。例えば、癌の見落としが問題となるケースでは、その癌の症状や進行速度、治療法等についての基本的な知識がなければ、そもそもミスがあったといえるのか(過失の問題)、また、その時点で適切な治療をしたとしても死亡を避けられたのかどうか(因果関係の問題)といった判断をすることができません。

もちろん弁護士は医学的には素人ですので、文献での調査だけで結論が出ることはまずなく、最終的には協力医のアドバイスを得る必要が殆どです。しかし、協力医に適切な質問を行い、またそれを踏まえて正確な事案の見通しを立てるためには、弁護士自身も医学文献を読み込んで当該分野について一定レベルの知識・理解をしていることが前提となります。よって、カルテを入手してから弁護士が行う作業はまずは有用な医学文献を収集することです。入門的な教科書は大型の書店や弁護士会の図書館に所蔵されていることが多いですが、それだけでは不十分であり、専門的な論文も集める必要があります。

論文を探す上で、よく使っているのが「CiNii」と「G-search」です。いずれも論文のデータベースで、キーワードで検索して関連する論文を表示してくれるのでとても便利です。

CiNiiは利用自体は無料ですが、あくまでデータベースサイトなので、検索した論文を見るためには別途図書館等に行って入手する必要があります(ただし機関リポジトリ等で本文も無料で見れる場合もあります)。

G-searchは有料のデータベースなのですが、探し出した論文の要約を見ることができたり、そのまま本文をファックスやPDFで送ってもらうサービスもある点で便利です。

これらのデータベースは医学論文に限定されるものではなく、それ以外の専門分野についての論文も検索できるので、医療事件に限らず専門的な知見を要する事案において威力を発揮します。