【清金愼治のBlog】経営戦略と法務の関係
新年明けましておめでとうございます。本年もブログにお付き合いください。
経営戦略と言っても、これが正しいという理論があるわけではないようです。有名なマイケル・ポーターの競争戦略論に対しても、昨年末に出版された書物によれば、ポーターの競争戦略だけでは通用しないという考えで最近の世界の学者の方々は議論されているようです。
私は、経営学の専門家でも研究者でもないですが、ここ10年間で読んできた書物だけの知識から、自分の感性に合う考えを有益だと勝手に判断しています。
どのような考えが正しいか分からないのであれば、自分の感覚にぴったりくる考えがいいと思います。今のところ競争戦略論が私にはなじみやすいです。
私の理解では、競争の優位を維持するために、「最高を目指す競争」は避けるべきであり、「独自性を目指す競争」を展開すべきという考えはしっくりきます。
最高を目指す競争に突入するとライバルも同じように模倣を繰り返し最高を目指し、詰まる所ライバル商品(サービス)との区別がつかなくなり、最後には価格競争に陥ってしまい、利益が下がり、ゼロサム競争に陥ると言うことのようです。
独自性を目指す競争とは、模倣しない、模倣させないということだと思います。この模倣しない、模倣させないというところが法務との関係では重要かと思います。
つまり、独自の技術・ノウハウ・ビジネスモデルでもって「独自性を目指す競争」に優位するという場面は、法務的に最もつながりやすいテーマです。
独自の技術等というのは、法務的には知的財産の領域であり、特許、意匠、商標のほか著作権などが関係してきます。
模倣させないという観点からは、不正競争防止法、独禁法(不公正な取引)、秘密保持なども重要に関係します。
これらの法務をベースにして、契約書をチェックしていくことが重要となりますし、そもそも、企業の方が事業戦略を立て、どのような取引先とどのような取引条件で交渉を進めなければならないかという「交渉場面」においてすでに弁護士のサポートは必要になると認識して頂きたいと思っています。
実際、私はある会社の契約交渉の場に同席しましたが、とても有意義なものでした。
契約の締結というのは、これらの交渉を経た最終合意でありますから、交渉の結果を契約書として作成して最終段階で弁護士のところでチェックをお願いしますと言ってきても、経営戦略的にはもう手遅れということです。
事業戦略も立てずに契約交渉に臨むのは論外ですが、中小企業にあってはなかなか明確な事業戦略を立てられないのが現状かもしれません。
こんな弁護士でも、一緒に事業戦略を考える仲間と思って頂ければ有難いです。
以上