【ブログ記事】紛争防止のための弁護士の関与
とある会社が賃貸用マンションを所有していたのですが、建築後数年も経っていないのにひび割れや水漏れ等の不具合が生じました。私は、その会社の代理人として、一級建築士と共同で関与し、マンションを建築した会社との間で無償での補修工事をしてもらうための交渉に携わり、工事の合意ができました。先日、無事に工事が完了したとの連絡を受けて、解決となりました。
この種の事案では、弁護士が関わるのは既に紛争が顕在化した後であることが通常で、訴訟に至ることも多いです。
しかし、この件では、不具合が判明した当初から依頼会社の社長と一緒に私と建築士も同席して建築会社側と面談する機会を設け、無償での補修工事について協議を重ねました。弁護士と建築士がペアを組むことで、法律面だけではなく技術面でもサポートが可能となり、相手方である建築会社の説明や方針の妥当性を即座に判断することができます。相手方である建築会社の方でも、弁護士と建築士が関わっていることがプレッシャーとなったのか、かなり慎重な対応をしているように思えました。
補修工事については、口約束ではなく合意書を作成し、紛争の蒸し返しにならないように工事の内容や範囲を明確化しました。この書面による明確化は、依頼会社にとってのみならず建築会社にとってもメリットがあったと思われます。
建築会社の方でも誠意ある対応をしてもらい、最終的には当方の要求がかなり盛り込まれた形で合意に至ることができました。
結局、瑕疵の有無や損害賠償といった法的な主張のやりとりを殆どすることなく解決することができました。もちろんケースバイケースではあるのですが、早期の段階から相手方と協議を行うことによって双方にとって納得がいく合意ができ、紛争の顕在化・長期化を防止できたことはとてもよかったと思います。