【矢倉昌子のBlog】「おひとりさま」の晩年に備える契約のすすめ
未婚者の増加や少子化などで,法定相続人のいない単身者が増えています。
法定相続人がいない場合,法定相続人でない親族や債権者等が
家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てをしますが,その数は増加しています。
相続人がいない場合,その方の財産は最終的には国庫に入りますが,
法定相続人ではなくても,生前に親交があって亡くなるまでの間,世話をしてきたというような場合,
「特別縁故者」として相続財産の全部又は一部を分けてもらうことができます(民法958条の3)(この件については,別稿にて)。
私も家庭裁判所から「相続財産管理人」として選任され,業務を行っていますが,
多額の財産を残されている場合があります。
その中でも,遺言書を作ろうと思っている途中でお亡くなりになった場合や,
遺言書のようなものは作成したが,様式が整っていないために遺言書とは認められない場合など,
身近に弁護士がいれば,事前によりよいアドバイスができたのではないかと残念に思える場合があります。
まず,
1.様式の整った遺言書(公正証書遺言若しくは自筆証書遺言)を作成しておくこと
2.任意後見契約
認知症など判断能力が低下した場合に備えて,財産管理や療養看護等の事務手続きを代理で行う後見人を事前に選んでおくものです。
実際に判断能力が低下した後に,親族等が家庭裁判所に申し立てて成年後見人が選任される「法定後見」とは異なり,
判断能力が低下する前に自分で後見人を選んでおくことができます。
3.任意代理契約(財産管理契約)
判断力はまだあるが,身体が不自由になってきた場合などに,財産管理等の委任契約を結んで,賃貸物件の管理や預金の引出しや管理等を依頼することもできます。
元気なうちにご自分の考えや気持ちを伝えて,信頼関係を築いておくことによって,判断能力が衰えてきたときにも安心して老後を託すことができますので,
お元気なうちに,信頼できる弁護士と財産管理契約を結ばれることをお勧めします。