【伊田真広のBlog】大阪府暴力団排除条例と東京都暴力団排除条例の文言の違い

社会全体から暴力団を閉め出すために,各地での暴力団の活動状況など地域の特性を踏まえた暴力団排除条例(以下「暴排条例」といいます。)が制定されています。条例は各地で内容が若干異なりますので,本日は,大阪府と東京都の暴排条例の違いについて述べたいと思います。

まず,東京都暴排条例の制定・施行は全都道府県で最後だったこともあり,その制定においては全国の各条例が参考にされています。東京都暴排条例の18条では「事業者は,その行う事業に係る契約が暴力団の活動を助長し,又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認める場合には,当該事業に係る契約の相手方,代理又は媒介をする者その他の関係者が暴力団関係者でないことを確認するよう努めるものとする。」とされています。

つまり,東京都条例では,取引の相手方が暴力団関係者かどうかを確認する努力義務を事業者に課していることになります。

一方,大阪府の暴排条例の場合,事業者に対して,取引一般について事前に「契約等の相手方が暴力団員であるか否かを確認するよう努める義務」は規定しておりません。もちろん大阪府暴排条例でも,第5条第2項において「事業者は暴力団と一切の関係を持たないよう努める」と規定されており,暴力団と一切の関係を持たないように努めるためには,当然,暴力団か否かを確認をする必要はあります。

この違いがどういった場合に意味も持つかと言うと,取引先に対して「あなたは暴力団ですか?」という確認が,取引先との関係上,なかなか確認しにくい場合でも,東京都の条例であれば,「条例に基づき暴力団関係者でないことを確認しなければならないので,確認しています。」と言いやすくなっています。つまり,取引先に対して「条例があるから,確認をしなきゃいけないんです。」と確認をとることへの説明がしやすくなっているのです。東京都暴排条例の方が直接的な努力義務規定があるため,取引先への説明に使える,という意味では,使い勝手がいいと言えると思います。